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海辺の和風旅館外国客とりこに 【名嘉真荘】
海辺の和風旅館外国客とりこに
懐石・浴衣でおもてなし
国内外の有名ブランドホテルが立ち並ぶ恩納村で、和風旅館をコンセプトにした宿泊施設「海の旅亭おきなわ名嘉真荘」(全25室)が外国客の人気を集めている。沖縄らしさよりも「和」の要素を前面に押し出すことで周辺のホテルとの差別化を図り、日本文化やおもてなしの心を求める欧米、東アジアからの旅行客を取り込んでいる。宿泊客の8割が外国客という月もある。外国客の新たな受け皿として注目を集めそうだ。
恩納村の名嘉真荘
名嘉真荘は2016年12月に開業した。代表の富島誠一氏は、リゾートホテルが数多く立ち並ぶ恩納村内に、和室や本格的な和食など日本人になじみのある宿泊施設滞在型の旅館スタイルが国内客向けにヒットするのではないかと思い立った。
同施設では畳間が広がる客室に、着物を着たスタッフの出迎え、京都で修行を積んだ料理長が提供する日本や沖縄の食材を生かした懐石料理、館内での浴衣レンタルなどに徹底的に「和」にこだわったサービスを提供している。
当初、1人当たりの宿泊価格を1泊2食付きで3万~4万円と周辺のホテルに比べやや高めに設定していたことや、リゾートを楽しむ目的で沖縄を訪れる国内客の趣向と合わず、想定していた需要を取り込むことができなかった。
一方で、利用客の多くは和食や、おもてなしなどの日本の文化体験を求める外国客がほとんどだった。外国客からは「ホテルと違った和のおもてなしに感激した」「沖縄の食材を和食に生かしており、琉球料理とは違った味わいだった」など評価する声が多いという。
女将の富島美樹氏は「外国客は沖縄も日本の一部として見ている。日本を感じさせる和のコンセプトが外国客の目的と合致し、結果的に奏功した」と話す。
現在は宿泊価格を下げたことや、SNSを使った口コミなどで利用客が増え、年間の宿泊者数は開業当初と比べ約3倍に伸びた。特に沖縄観光のオフシーズンの2、3月は東アジアを中心に外国客が7~8割を占める。
富島女将は「外国客の中には、沖縄を日本の入り口に全国各地を転々とする人も多い。きめ細かいサービスや、沖縄の青々とした海と空を堪能してもらうことで、日本と沖縄の良さを感じてもらい、リピーターを増やしていきたいと」話した。
【2019年8月27日(火) 沖縄タイムス 朝刊記事 転載】